第3話
ドキュメンタリー撮影のウラ側「クマザワコータロー」とLUMIX S1H
第3話「ITAGAKI.TVとLUMIX S5Ⅱ」の制作は、写真・映像作家のクマザワコータローさんが担当。ミュージシャンに密着取材することも多いというクマザワさんは、今回の作品でも「ぶっつけ本番、ガチドキュメンタリー」に挑戦。
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取材対象との関係性
今回の取材対象であるイタガキさんとは、事前に行われたオンラインミーティングで少し話しただけ。実際に対面したことはない相手のとの距離を、この撮影中にいかに良好に縮めていくか。「ドキュメンタリーは、取材対象になる方がカメラを意識しなくなってからが本番だと思う。」とクマザワさんは語ってくれた。いつもの”自然体のイタガキさん”を撮りたい。緊張しながらも、初めて向き合うシチュエーションにワクワクしている様子だった。
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足場の悪いロケーションで
2023年5月現在、LUMIX S1Hは、LUMIXシリーズの中で最もボディが大きく、最も重いカメラ。慣れた様子で渓流の岩場を軽々と渡っていくイタガキさんを、重量級のカメラ片手に、必死で追いかけるクマザワさん。時折足を踏み外し、川に浸かってしまうことも。このようなシチュエーションでもこのカメラにこだわる理由はどこにあるのか。
それは、S1Hのタフさだ。多少の雨が降っても撮影を続行できる防滴性能。多少ぶつけても大丈夫という安心感。そこにクマザワさんは絶対的な信頼を寄せているのだという。 -
全編を通して手持ち撮影
ドキュメンタリーの撮影は、いつ何が起こるかわからない。その中で、起こった事柄をいかに多く捕まえられるかが勝負ドコロ。クマザワさんは三脚を持たず、24mm - 105mmのズームレンズを取り付け、イタガキさんの周りを頻繁に移動しながら、様々なアングルでカメラを向ける。
LUMIX S1Hの優秀なボディ内手ブレ補正を活用。「設定次第でマウントコンバータを介した他社のレンズでも、レンズ側の補正を有効にすることもできるし、当然ボディ内の補正も効かせることができる」クマザワさんはこの補正機能を活かし、インタビューシーンを含む全編を手持ち撮影のみで完結させた。 -
Super35mmモードを使用
今回は、S1Hの「Super35mmモード」を使用。24mm-105mmのレンズでこのモードを使用すると、フルサイズ換算で約35mm〜157mm相当の画角となる。広いフィールドの中で、より望遠からのショットを狙える。
また、レンズをワイド端にした状態で約35mmという画角は、歩き撮りが多くなるような今回のシチュエーションで有効だと言う。「広すぎる画角と揺れで、視聴者がカメラ酔いしてしまうことを避けるための配慮も兼ねている」そうだ。 -
給電とブレ防止を兼ねた”クマザワカスタム”
S1Hのボディ底面には標準的な三脚ネジ穴の他に、三脚プレートが回転しないようにするための「ボス穴」が設けられている。クマザワさんはそれを使って簡易的なリグを組み、ポータブルバッテリーをカメラ背面に装着。三脚ネジ穴とボス穴のおかげでかなり頑丈に取り付けられるため、バッテリー部分を自分の体に押し当ててホールドしても歪んでしまうことがない。これが手持ち撮影時のブレ防止に非常に役に立っている。
S1Hの「チルトフリーアングルモニター」でうまくケーブルを逃がすことができ、撮影時の視界を妨げることもないのだという。「僕が考えました!」と得意げに解説してくれた。