第5話

LUMIX G9M2で撮る風景写真 Keng Chi Yangの【だから、LUMIX。Season3】

Creator

Keng Chi Yang

1991年福岡・北九州生まれ。新潟/東京のニ拠点生活をしつつ、スーパーカブで全国を旅している写真家。カメラメーカーでのセミナーやCP+登壇、プロモーション出演なども行う。noteメンバーシップ「他人の日記」 - テクニックだけでは辿り着けない、よりよい写真制作の為のエッセイも更新中。

  • カブで旅する写真家 / 小型軽量への拘り

    越後湯沢(新潟)と、東京を拠点に、日本全国を旅しながら写真家として活動しているKeng Chi Yang。
    幼少期にバイクレースをやっていた経験があり、バイクに乗り始めたのは9歳だそう。そんな彼の現在の相棒は、スーパーカブ。原動付き自転車に分類されるため、法定速度は30km/h。一見、移動の足としては非効率に思えるが、実は、それが良いらしい。
    「30km/hだからこそ見えてくる風景があるんです。しかも、パッと停めて、パッと撮れるから、写真を撮るのには、むしろ向いているんです。意外と、荷物もたくさん載りますしね」そう語るKeng Chi Yangが”小型”にこだわるのは、移動の足だけではない。カメラもフルサイズではなく、マイクロフォーサーズを選択しているあたりから、その拘りが伺える。

  • 個性的なレンズだから撮れる絵

    今回の現場で、Keng Chi Yangがメインレンズにしていたのが、LEICA DG SUMMILUX 25mm / F1.4。小型軽量で、柔らかい描写が特徴のレンズだ。
    曰く、「コントラストがそんなに高くないけど、不思議な抜け感と色の綺麗さがあって。フルサイズと比べると、画質も素晴らしいというわけではないけど、むしろそこが雪の撮影には相性がいいんですよ」
    いわゆるスペック至上主義的に、解像感を追い求めるわけではなく、あくまでも”表現”を優先した上での選択。似たようなシチュエーションの撮影をしたい方は、参考にしてみて欲しい。

  • 表現のためのモード/機能選択

    Keng Chi Yangは普段、Pモード + iダイナミックレンジオートを多用している。天候によってシャドウの雰囲気が大きく変わる"風景写真"においては、この設定が使いやすいのだそう。
    また、興味深かったのは"手持ちハイレゾ"の使い方だ。1億画素のデータが生成できることから、解像度を稼ぐための利用方法が一般的かと思われるが、Keng Chi Yangはその辺りも"表現"に昇華している。「手持ちハイレゾは、あくまでも一億画素っていう解像度の高さじゃなくて、ディテールの微調整として、クリエイティブの最後の数%を埋めるためのピースとして使えるんです」

  • リアルタイムLUTは その場で現像する感覚

    Keng Chi Yangが撮影する姿で目についたのが、リアルタイムLUTをクルクルと操作している様子だった。「季節の違いや被写体の違いで、現像って結構変わるんですよ。それを持ち帰ってからやるのではなく、撮ってるその場でやっちゃう。これができると楽なんですよ。決して簡単ではないけど、そのとき、その瞬間の感性も大事にできるし。仕事の場合なら、納品までのスピード感も上がりますしね。」
    確かに、現場での判断は少々難易度が高いが、リアルタイムLUTの1つの理想的な使い方として、参考にしてみてはいかがだろうか。

  • “普通”の定義

    「僕は写真を撮るときに、ぼーっとしながら撮っているんだけど、どの状況でもちゃんと撮れる。普通に撮れる。それがLUMIXなんです」
    言葉の通り解釈すると、いわゆる”テキトー”という言葉を思い浮かべる方は少なくないだろう。ところが、真意は違う。
    Keng Chi Yangは、非常に懐の深い写真家である。本動画で披露してくれたような”発信活動”の傍ら、業務として、学校写真、着物写真、絵画の複製写真といった”お堅い仕事”もこなす、オールラウンダーなのだ。そんな彼が発する”普通”は、かなり高いレベルを指している。さしずめ”プロのアスリートが実戦で必要とする最低限のレベル”と形容すればわかりやすいだろうか。
    であれば”普通”よりも、もっと適切な言葉があるのかというと、そうではないらしい。「ただただ普通の何でもないところを、何でもないように撮れるカメラって実は少なくて。LUMIXは、とても高いレベルで"普通"に撮れるんです」そう語るKeng Chi Yangの口調には、どこか説得力を感じた。

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